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社内実験室2-6

カートリッジヒーターの耐熱温度の差について


1. はじめに

 カートリッジヒーターは、金属パイプ材質によって耐熱温度が違いますが、実際にどの程度耐熱温度に差があるのかを実験で確認してみました。

2.実験条件と環境について

 カートリッジヒーターの外径は15とし、パイプの材質をSUS304とインコロイ800の2種類用意しました。カートリッジヒーターの内部、外部の温度を測定するために、それぞれの箇所に熱電対を取り付けました。その他実験条件は下記となります。

 ・常温大気中にて行う

 ・任意の電力でのカートリッジヒーターの表面温度と内部温度の測定

 ・カートリッジヒーターを断線するまで通電し、その温度を測定

3.実験結果

 任意の電力において、電力が同じだった場合、グラフ1のように、SUS304、インコロイ双方ともに表面温度はほぼ同じように推移を示していました。

 しかし、内部温度はSUS304の方が高く、写真1のように、発光もSUS304の方が明るい状態に見えました。

ノーマル

グラフ1

ノーマル

写真1 実験の様子 上側SUS304 下側インコロイ

 その後、段階的にCHの温度を上げていき、温度測定を続けました。SUS304は950℃への調整段階で断線しました。(グラフ2参照)その後、インコロイのみで実験を続け、950℃で30時間を超えたあたりで表面温度1000℃に調整を行いました。
その後50時間ほど実験を継続しましたが断線などはおきませんでした。

ノーマル

グラフ2

 グラフ3はSUS304、インコロイの内部と外部温度の差のグラフになります。インコロイよりもSUS304の方が内部と外部に温度に差があり、発熱線へのダメージが大きいものと考えられます。

インコロイは表面温度900度の状態では、温度差は150℃程度を維持しているのに対し、SUS304は40時間程度までは温度差220℃付近を維持していますが、徐々に温度差が開いていき表面温度900℃の最後の100時間頃では320℃程度の差にまで広がっています。

断線は表面温度と内部温度の差が大きくなったときに表面温度を上げたため、内部温度が発熱線の限界温度を超えたためと推測できます。温度差が広がった原因としては金属シース表面の荒れや剥離、酸化によって熱伝導が悪くなったため、と考えられます。

ノーマル

グラフ3

ノーマル

写真2 上部がSUS304 下部がインコロイ

4.まとめ

 パイプ材質の違いにより、ヒーターの耐熱温度が変わることが確認できました。SUS304は900℃での使用は不可、インコロイも950℃程度が限界と考えられます。また、ヒーター内外の温度差もパイプ材質により異なることが確認できました。これは材質毎に伝導率が異なるためと考えられます。SUS304とインコロイではインコロイの方が熱の伝わり方が良く、内部と外部の温度差が小さくなることで発熱線への負荷を抑えられているものと考えられます。このことから、高温で使用するヒーターではインコロイを使用したほうがヒーターの寿命が延びるものと考えられます。

ただし、実際にカートリッジヒーターの表面温度が800℃を超えるような状況で使用をする際には、絶縁抵抗値の低下に留意しなければならず、二次絶縁を施すなど対策が必要となります。(社内実験室:CH表面温度と絶縁抵抗の変化について参照)

  
 

 

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